ある日のこと。
モンサンミッシェルにある雰囲気のある雑貨屋さんに入った。
シルバーのアクセサリーがずらりと並び、お土産屋さんが出している雰囲気とは少し違うアクセサリーや置物を扱うお店だった。あまりゆっくり見ている時間はなかったんだけど、イエス・キリストのペンダントトップが欲しくて、店内に入って急いで探した。
中に入るとショーケースにはいろんな種類のアクセサリーがずらりと並んであって、一瞬で気分が上がった。
いつもは優柔不断なんだけど、”これだ!”という古くからここにいそうなイエス・キリストのペンダントトップを見つけて、買うことにした。それも、ショーケースに入っていた。
レジへ行ったら1人はお客さん対応、もう1人は在庫整理をして、少し忙しそうにしていた。勇気を出してカタコトの英語でショーケースを指して、あれを買いたい!ってジェスチャーを交えて意思表示した。
「OK、すぐに行くから、そこで少し待ってて、」って言われた(たぶん)。ショーケースの中の決め切れていない2つを見ながら、店員さんが来るのを待っていた。あー、これも買おうかな。旅の途中でもっと良いのに出会えるかな。いや、これが最後かな。んー。
「I’m here.」
低くて、ゆっくりと落ち着いた声で、『I’m here.』と声をかけられた時には、さっきの店員さんが私のすぐ隣にいた。細くてすらっと背が高くて、肌の色にドレッドロックスがとっても似合っていてクールでかっこいい店員さんがそこにいた。(多分私はじっとショーケースに見入ってしまっていたんだろう。。)
はっと気付いて目があった時、それまであまり笑顔を見せなかった彼女の笑顔にある目はなんだか優しくかった。急いでいた心がほっとほぐれてなぜか安心したのを覚えている。英語が話せなくて、不安な気持ちもすんっといなくなった。
これとこれをください、と。レジでシンプルな小さな紙で丁寧に包んでくれた。

名前も知らないお店でのなんでもない出来事。
あの「I’m here.」というなんだか低くてあったかい声と言葉と優しい目。言葉は通じないけれど、目や雰囲気で優しさを感じる瞬間がある。特に旅しているときには、そんな瞬間に出会う。
なにか会話をしたわけでもない、旅の中のほんの一瞬の出来事。
I’m here.
あれから、なんだかこの言葉がお気に入り。今でも耳に残っている。
文章にするとうまく伝わるのかわからないけど、目には見えない’人との繋がり’のような瞬間。名前も知らない誰なのかもわからないけど、確実にここにお互いがいる。目が合う。この感覚は言葉が通じ合う日本では、なかなか出会えなかったりするんだけど。なんだろうな。この感覚。人と繋がり、あったかくなって心がほぐれる瞬間。誰だか知らない人、その場であった人。
って思ってたんだけど、この間、「アルケミスト」という本を読んだら、この感覚のことが書いていて、衝撃だった。
人と共有したことはなかったけど、確かにあるんだ。って。本は、そういうことを必要な時に教えてくれるから、すき。
今日は、この辺で。

もう少し文章を書くのが、上手くなるといいな。ここまで読んでくれた人、ありがとう: )